懺悔 ~偽りの祝福~
あれから1年が経った。
もう話してもいいかもしれない。
その日私は、事務所の大掃除をしていた。
お昼頃だったか、広島にいる息子から、その日行われる「東京大賞典の馬券を買ってくれ」とのメールが入ってきた。
見てみると、息子が狙っている馬を、私も狙っていた。
大掃除を終え、家に帰る途中、携帯で馬券を買うか、それとも、車を停めて今すぐ携帯で買うか、どうしようかなと考えていたのだが・・・・・
その1か月前に「ガラケイ」から「ガラホ」に買えたばかりで、まだ、馬券を買うのに手間取ったりすることがあったので、家に帰りパソコンで買うことにした。
しかしながら、この判断が裏目に出た。
家に着いてパソコンを立ち上げているうちに、刻々と発走時刻が迫ってきた。
4時30分発走なのだが、地方競馬は、中央競馬より締切時間が3分早い。
「ヤバイ、これは間に合わない」
すかさず携帯で買おうとするが「えーと。どうだったかな?」なんてやっているうちに、タイムアウトとなった。
レースが始まった。
いつもなら「ワクワクドキドキ!」、「当たり」を期待して観るのだが、
この時ばかりは、
「ハズレテくれよ!」と祈るような気持ちで画面を見つめていた。
それが、なんと、期待に反して、脚色がとてもいい。
あれよあれよという間に進出してきて、見事に差し切りがち。
「あーなんてことだ!」
こういう時に限ってこうなるんだよな。
もうがっくり。
間に合っていれば、息子と私とふたりとも的中していたのに・・・・・
「息子になんて言おう?」
まさか、間に合わず「買えなかった」なんて言えるはずがない。
私はすぐに息子に電話して、
落胆した様子を敢えて悟られないよう、いつもよりテンションを上げて、
「やったな!」おまえの予想通り「バッチリだったな!」
もちろん、そう言いながらも、私の心中は穏やかでなく、涙が出そうだった(笑)
その後、
息子に「真実をいつ話そうか」と考えていたが、
結局話さずじまいで、
今日再び「東京大賞典」の日を迎えたのだ。
今年は、昨年の轍を踏まないよう、お昼には馬券を買っておこう。
当たればいいけど・・・・・。